医療の話

新潟医療生協機関紙で毎月掲載されている「医療の話」を木戸病院ホームページに掲載いたしました。どうぞご覧ください。


尿路結石について 2018.7 (内科:濱 ひとみ)

はじめに

皆さんの周りにも尿管結石で病院に救急搬送された方がいらっしゃいませんか?2005年の調査で上部尿路(腎、尿管)結石にかかる人の割合は10万人に対し134人で、1965年と比べて約3倍、1995年と比べて約1.6倍に増加しています。日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一度は経験するという病気です。

暑い季節 尿路結石に要注意

尿の中には、不要となった物質(老廃物)が溶け込んでいます。その成分が固まり、結晶化したものが尿路結石です。夏は汗をかいて脱水になりやすく、尿が濃くなり、尿中の成分が溶けきれず石をつくりやすくなります。石が腎臓にあるうちはあまり痛くありませんが、尿管の途中で詰まると痛みが出てきます。
尿管のけいれんや石で尿の流れが遮断され、腎臓の圧が上昇することで腎臓の表面を覆う膜が引き伸ばされることで痛みが出ます。わき腹や腰背部の激しい痛み、嘔気、嘔吐、血尿などが症状で、熱が出る場合もあります。

腎臓と尿管の図解

結石の種類

結石の成分は数種類あります。9割を占めるのがカルシウム結石です。特に多いのがシュウ酸と結合するシュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸は、ほうれん草に含まれることで知られています。

なりやすい人は?

男女比が2.4対1と男性に多く、特に肥満の方に多い病気です。肥満以外にも、糖尿病、高血圧といった生活習慣病の方に多く、メタボリックシンドロームの一疾患と捉えることもできます。動物性たんぱく質、脂肪の多い食事が続くと、カルシウムやシュウ酸が尿へ溶け出す量が増え、石ができやすくなります。また、尿は本来、弱酸性ですが、こうした食事で尿が酸性に傾くことも、尿路結石に影響するとされます。

尿管結石の治療法は?

CTスキャンやレントゲン、超音波などで石の大きさが分かりますが、10㍉㍍未満の尿管結石は、自然に石が出ることが期待できます。薬物療法には、尿管を拡張して石を出しやすくする薬や鎮痛薬を使います。10㍉㍍以上は内視鏡手術や、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を行います。1カ月以上排石しない尿管結石については、腎機能障害や感染の危険があるため、結石除去治療の検討が必要です。

予防は?

再発率が高いのが尿路結石の特徴で、カルシウム結石は5年で45%も再発します。予防のポイントは水分摂取と運動、バランスの取れた食事です。
①水分摂取し、尿量を増加させる。(清涼飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールの過剰摂取は避ける。)
②シュウ酸を控える。適度なカルシウムを一緒にとる。(シュウ酸の吸収を減らす。)
③プリン体の多く含まれる食品、飲料を控える。(特にビール)。
④適度な塩分制限を行う。




むずむず脚症候群 2018.6 (神経内科:高橋 俊昭)

はじめに

夜眠ろうとベッドに入ったときや、バスや美容室でじっと座っているときに、脚の不快感を感じて、動かすと症状が和らぐ…..
そんな経験がある人は「むずむず脚症候群」という病気かもしれません。

むずむず脚症候群とは?

むずむず脚症候群は、脚の不快感が主な症状で、患者さんからは、脚の奥深くが「むずむず」「うずく」「虫が這うよう」「いらいら」といった感じと表現されます。夕方から夜、就寝時に現れることが多く、不快感から脚を動かしたい衝動に 駆られます。ある程度は脚を動かすことで解消されるからです。ちょっと変わった病名は、この脚を動かしたくなる衝動に由来するものです。「レストレスレッグズ(=脚をじっとできない)症候群」という名前で呼ばれることもあります。こうした不快感のために、夜眠れない、眠りが浅くて途中で目が覚めるなど、睡眠障害を伴うことが特徴です。むずむず脚症候群と気付かれないまま、あるいは診断されないまま、睡眠導入剤(いわゆる眠剤)を処方してもらってる人も多くいるはずです。

むずむず脚症候群は、けっして希な病気ではありません。日本人では人口の約2〜5%(欧米では、もっと多くて7〜10%くらい)の人にみられます。一般には40才以降に発症することが多く、やや女性に多い傾向があります。原因はいまだ明らかにはなっておりませんが、ドパミンという物質を介した脳や脊髄の神経伝達の低下が要因と考えられています。多くは基礎疾患のない方に起こりますが、血液透析を受けている人、糖尿病、パーキンソン病、胃を切除した人 、鉄欠乏性貧血や妊娠中の女性でもみられます。就寝前のアルコールやカフェインの摂取が誘因となる場合もあるようです。

むずむず脚症候群の治療法

むずむず脚症候群の治療法としては、生活習慣の改善だけでも症状が良くなることがあります。症状の悪化要因とされている喫煙、アルコール、カフェインの摂取を控え、食事、運動、睡眠など規則正しい生活を送るように心がけることが大切です。脚をマッサージしたり、冷やしたりすることも効果的です。これらの非薬物療法で改善がない場合には、薬物療法の出番となります。鉄分不足がある場合には、まずは、鉄分の補充治療が選択されます。鉄分は先のドパミンという物質が合成される過程において重要な役割があるためです。鉄分不足でない方や鉄分の補充が無効な場合は、神経伝達を刺激する内服薬や貼付薬(ドパミン受容体刺激薬)が選択され、多くの場合は症状の改善が得られます。

おわりに

脚の不快が原因で眠れないで困っている方は、この病気かもしれません。一度、かかりつけ医や神経内科で相談をしてみるとよいかもしれません。

4つともあてはまれば、むずむず脚症候群の可能性がありそうです




低血糖が起きていませんか? 2018.5 (内科:阿部 孝洋)

低血糖とは?

通常、血糖値が高くなるのが糖尿病ですが、飲み薬やインスリン注射を使っていると、時に薬が効きすぎて血糖値が下がりすぎてしまうこと(一般的に血糖値が1㌥㍑当たり70㍉㌘未満)があります。これが低血糖です。特に、他人の助けを必要としたり、入院を要する低血糖を「重症低血糖」と言います。

HbA1cは低ければ低いほど良い?

確かに、糖尿病の合併症進展予防のためには、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を下げることは大切です。HbA1cは低ければ低いほど良いと誤解していませんか?大切なのは、低血糖を起こさずにHbA1cを下げることです。
欧米の研究では、重症低血糖はかえって死亡率を上げる可能性があることが明らかにされ、「血糖値は低いほどよい」のではなく、「重大な低血糖になるところまで血糖値を下げてしまうと、かえって危険である」ということが分かってきました。
HbA1cを下げることと、低血糖を起こさないことは同じくらい重要であるとも言えます。

低血糖が起きたことを医療従事者に報告していますか?

私たち医療従事者にとっては、患者さんの日頃からの自覚症状を知ることが、低血糖の有無を知るために重要となります。受診の際に左記のポイントを伝えてください。
低血糖は治療の変更が必要なサインであり、治療内容を見直す必要があるかもしれません。

受診の際に伝えるポイント

高齢者で特に大切な低血糖予防

高齢者は低血糖の症状に気が付きにくいという特徴があります。血糖値が極端に低くなっても気が付かず、結果として低血糖による昏睡を起こしやすいとされています。
また、繰り返す低血糖で認知症が悪化したり、転んで骨折したり、寝たきりにつながるかもしれません。さらに、動脈硬化が進んでいると、低血糖をきっかけに脳梗塞・心筋梗塞を引き起こす危険 性もあります。
つまり、若い人と比べて高齢者の低血糖は大変危険であると言えます。

高齢者で異なるHbA1cの目標値

低血糖を起こさないように、日頃のHbA1cをある程度高めに保っておくことも必要です。
学会から「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」が示され、認知症の有無や併存疾患・薬の種類によって、HbA1c:7.0~8.5%未満まで幅があり、さらにこれ以上は下げないようにしましょうという下限値も設定されました。
簡単に言うと、75歳以上で低血糖の危険のある方は、「HbA1c:8〜8.5%未満を目指しましょう、でも7%は切らないようにしましょう」ということになります。
これからは、HbA1cの値だけでなく、「低血糖の有無」についても目を向けてみてください。




お口の乾燥で悩んでいませんか? 2018.4 (歯科:藤田 孝子)

はじめに

・夜中に目が覚めると口がカラカラに乾いている
・入れ歯が擦れて歯茎が痛い
・舌や唇が歯にあたってヒリヒリする
このような症状が思い当たる方は「口腔乾燥症(ドライマウス)」かもしれません。口腔乾燥症は主に唾液が減少することによって引き起こされます。
口腔内では1日に1㍑〜1.5㍑の唾液が分泌され、消化や抗菌作用などの役割をもっています。唾液は主に三大唾液腺である耳下腺、顎下腺、舌下腺から分泌されますが、何らかの原因で唾液が減少すると、はじめに挙げたような症状が表れます。また、虫歯や歯周病にもなりやすくなってしまいます。
口腔乾燥症の原因としては薬剤の副作用や自己免疫疾患、自律神経の乱れなどがあります。
薬剤の副作用が口腔乾燥症の原因になっている可能性があっても処方されている薬を自己判断で中止するのは絶対に避け、必ず主治医に相談するようにしてください。
口腔乾燥症の診察時では問診、唾液分泌量の測定、口腔内の診査、唾液腺の触診を行い、原因を探ります。さらに詳細な検査を要する場合には新潟大学医歯学総合病院の専門外来である「くちのかわき外来」をご紹介いたします。

自分でできる対応

①保湿剤
お口に潤いを与える保湿剤が多種類あり薬局などで販売されています。種類によって味や使い心地がそれぞれ違いますのでご自分に合ったものが見つかると良いですね。当院歯科受付でも扱っていますので、口腔乾燥が気になる方はまず含嗽剤(がんそうざい)タイプの保湿剤を試してみてください。
②唾液腺のマッサージ
唾液腺を優しくマッサージをすることで唾液の分泌を促します。力を入れすぎると周囲に痛みが出ることもありますので軽く圧迫するようにマッサージしてください。(図1)
マッサージはいつ行ってもらっても構いません。食事前や布団に入った時などリラックスできる時に行うのがよいでしょう。
③日常生活での注意点
唾液の分泌を調節する自律神経のバランスを整えるために、規則正しい生活を心がけてください。また、冬は空気が乾燥しますのでマスクや加湿器を使用してもよいですし、間食時にキシリトールガムなどで唾液を積極的に出すこともよいかと思います。
「加齢のせいだから」「こんなこと自分だけしか悩んでいないかも」そう思っていらっしゃる方が大勢います。お金をかけずに自分で手軽にできる対応法もありますので、改善が難しいようであれば相談してください。

図1:唾液腺のマッサージ
唾液腺のマッサージ図解




肺結核について 2018.3 (内科:河辺 昌哲)

肺結核とは

結核菌という細菌が肺に感染して起こる病気です。肺以外にもリンパ節、腸、骨などにも感染します。肺結核は人から人に感染します。

患者数は

かつて「結核は国民病」といわれましたが、2016年に新たに発病した患者数は17,625人で前年より655人(3.6パーセント)と年々減少しています。しかし他の先進国よりも多く、大都市で多い傾向があります。

感染経路と発病

結核を発病している人が、体の外に菌を出すことを「排菌」といいます。排菌している人が咳をした時に出る細かい飛沫(しぶき)に結核菌が含まれており、近くにいる人が吸い込むと感染します。食器などの物を介して結核が感染することはありません。

感染しても発病する人は10パーセント程度です。多くの人は感染に抵抗して免疫が出来ますが、その後高齢になったり、免疫力が落ちたときに発病することがあります。

症状

咳、痰、血痰、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などが出ることもあります。咳が出る場合、他人にうつす可能性が高くなります。長引く咳、血痰がある場合には胸部エックス線検査を受けましょう。

検査

胸部エックス線検査、胸部CT検査で特徴的な影を見つけます。血液検査(QFT検査、Tスポット検査など)や痰、胃液の塗抹検査(顕微鏡観察)や培養(6週間かかります)で菌があれば診断になります。

治療

結核と診断されたら、抗結核薬の内服治療をします。4種類の治療薬と副作用予防の薬を毎日飲むことになります。治療は6ヶ月間(2ヶ月治療後2種類に減ります)、途中で止めずに治療終了までしっかり続けます。治療が中途半端になると、薬が効かなくなってしまいます(薬剤耐性結核)。 結核菌を排菌している場合には菌が出なくなるまで結核専門病院で入院治療をします。

治療費の公的補助

医療費の一部が公費で負担されます。

生活上の注意

咳が出る場合、必ずマスクをします。服薬は毎日忘れずにします。規則正しい生活、バランスよい食事を摂り、飲酒や過度の労働は控えます。

予後

1950年は死亡順位1位でしたが、2016年は28位にまで減少しています。結核はちゃんと治療できれば、ほぼ治る病気です。確率は低いですが再発することがあるので、治療後2年間は定期的に胸部エックス線検査をします。
詳しい情報は結核予防会結核研究所の ホームページを参照してください。
http://www.jata.or.jp/about_basic.php



嗅覚(におい) 2018.2 (耳鼻咽喉科:池田 正直)

匂いと生活

私たちは、日頃何気なく匂いを嗅ぎ生活しています。ある日、突然匂いが無くなったらどうなるでしょうか。恐らく普段通り平然と過ごせる人は少ないと思います。私たちは無意識のうちに匂いに動かされ、匂いを利用しています。そのような生物としてより原始的な五感の一つ、「嗅覚」について触れてみたいと思います。

匂いはどのように感じている?

匂いは鼻腔(びくう)という鼻の空間で、上方の嗅裂(きゅうれつ)と呼ばれる限られた部位で感じています。ここには嗅細胞(きゅうさいぼう)という神経細胞が列をなし、無数にある匂い分子を吸着させ、それぞれ決まったルールでヒトでは遺伝子が350種以上も存在するセンサーで脳へ伝達し、様々な匂いとして認識しています。残念ながらネズミなどの小動物はおよそ1000種と豊富であるのに対し、大脳が発達したヒトではこの機能が退化したとも言えます。しかし言い換えれば、匂いがなくとも身に危険が及ぶ機会が減り、進化した結果であるとしても過言ではありません。

匂いの神経は日々生まれ変わる

先に述べた嗅細胞は、皮膚の角質と同じように脱落と再生を繰り返しています。風邪を引いて匂いがしづらくなる経験は、誰でも覚えがあるのではないでしょうか。これは嗅上皮(きゅじょうひ)という嗅細胞からなる粘膜がダメージを受けることによります。すなわち、嗅上皮は外からのストレスに弱い性質があり、そのために日々新たな入れ替えが必要であるとも考えられています。

いろいろな嗅覚障害

とくに多いのは、匂い分子が届きにくくなる鼻炎や蓄膿症です。鼻茸(はなたけ)と呼ばれる鼻腔のポリープは、匂いにとってしばしば厄介な存在です。他に最近注目を集めるのは、脳の変性疾患であるアルツハイマー病やパーキンソン病の初期症状として匂いが弱くなるというものです。これは脳内での匂い伝達が、記憶をつかさどる海馬などと近接しているためと考えられています。また、風邪を引いてからピタリと匂わなくなり、それが続いてしまうものや、頭の怪我に続くものなど原因は多岐に渡ります。

匂いがしなくなったら‥

嗅覚障害は未解明の部分も多く、治療しても治りにくいケースは実際に存在します。大事なことはおかしいと感じたら早めに受診することです。急性期に期待できる薬があることや、万が一、認知症が早くに判明した場合は早期治療に移れるメリットがあります。最近は漢方治療が有用視されており、欧米では嗅覚トレーニングという方法も活発に行われ始めています。複数の匂い(アロマ)を用いた訓練法ですが、国内でも現在検討段階で、近い将来導入される見込みがあります。いずれにしても、匂いは日常不可欠なパートナーであり、匂いを噛みしめ親しみをもつことこそ、健康を保つ上で大切なことなのかもしれません。




大腸癌の予防 2018.1 (内科:佐藤 秀一)

我が国では、癌の罹患数(りかんすう)は年間約100万人です。部位別では大腸、胃、肺、乳房(女性)、前立腺(男性)の順に多く、大腸癌の年間罹患数は、男性約8万5千人、女性約6万4千人です。また癌による死亡数は年間約37万人(男性22万人、女性15万人)で、肺、大腸、胃、膵臓、肝臓の順に多く、大腸癌の年間死亡数は5万3千人(男性2万8千人、女性2万5千人)です。日本における大腸癌の死亡率は近年増加傾向にあり、その原因として運動不足や食生活の欧米化に伴う肥満などが考えられており、有効な予防法を確立することが重要であると考えられています。今回、大腸癌の予防について、今までに報告されている事をまとめて簡単に説明します。

運動

筋肉運動やスポーツ等で身体を動かしたり、歩いたり立ったりしている時間が1日3時間以上の集団は、大腸癌の発症リスクが低下する傾向がみられました。また、身体活動が多い集団では、身体活動が最も少ない集団に比べ、大腸癌リスクが30%近く低下したとの報告もあります。
日常生活の中で積極的に体を動かす習慣をつけ、週1回程度の定期的なスポーツを行うことをお薦めします。具体的な例としては、毎日、1日の合計で60分以上(8000~10000歩)歩き、更に週に1回程度は、60分程度の早歩き、または水中運動、軽い体操などの運動を加えると良いです。

肥満

体脂肪量が大腸発癌リスクと関係することが、種々の研究により報告されています。肥満の指標としてBodymassindex(以下BMI)が用いられます。BMIは体重㌔㌘÷(身長㍍)で計算され、BMIが2増えると大腸癌は7%増加するといわれます。特に、BMI:25以上では、発癌リスクが上昇する事が報告されています。
しかし、肥満に対し過度に警戒することは必要ありません。ごく一部(BMIが27以上の場合)の方々は、27程度までやせるよう努めていただくと良いかもしれません。

繊維、野菜、果物

日本国内の研究では、食物線維の摂取量が多くても大腸癌のリスクを下げる事はありませんでした。しかし、食物線維摂取量が極端に少ないと、大腸癌のリスクが高くなりました。ヨーロッパの大規模な研究では、食物線維摂取量が10㌘/日以下の集団では、大腸癌のリスクが上がりました。
大腸がん予防の為に必要な食物繊維は、ほとんどの方で普段の食事から既に摂取されていて、それ以上食物線維摂取量を増加しても、発癌予防の効果は変わらないと考えられています。

アルコール

男女とも、1日のアルコール摂取量が15㌘増えるごとに、大腸がんリスクが約10%増えると推定されています。23㌘以上/日のグループでまったく飲まないグループよりも大腸がんリスクは1・6倍高くなる事が報告されています。ちなみにアルコール23㌘の目安は、ビール:大瓶1本、日本酒:1合、焼酎(25%):120㍉㍑、ワイン:グラス2杯、ウイスキー:ダブル1杯です。 大腸がんの予防のためには、節酒(1日平均1合未満)が大事であると考えられます。

喫煙

喫煙は、大腸癌の前癌病変である大腸腺腫のリスクが上昇する事が報告されています。 また、非喫煙者に比べ現在喫煙者の大腸癌発症リスクは1・17倍に上昇すると言われています。喫煙本数に喫煙年数を乗じた喫煙指数が増加するほど大腸癌のリスクが上昇するという報告もあります。現在は禁煙中の過去喫煙者も、現在喫煙者と同程度にリスクが上昇すると考えられています。厚生労働省の報告でも、日本人においては喫煙によって大腸癌のリスクが上昇する「可能性がある」と結論付けられています。

赤身肉

喫煙は、大腸癌の前癌病変である大腸腺腫のリスクが上昇する事が報告されています。 また、非喫煙者に比べ現在喫煙者の大腸癌発症リスクは1・17倍に上昇すると言われています。喫煙本数に喫煙年数を乗じた喫煙指数が増加するほど大腸癌のリスクが上昇するという報告もあります。現在は禁煙中の過去喫煙者も、現在喫煙者と同程度にリスクが上昇すると考えられています。厚生労働省の報告でも、日本人においては喫煙によって大腸癌のリスクが上昇する「可能性がある」と結論付けられています。

牛乳

牛乳を飲む量に逆相関して発癌リスクが低下します。牛乳を毎日250㌘以上飲んでいた群では、発癌リスクが0・85倍に減少したという報告があります。

カルシウム

カルシウムの摂取量が低い(300㍉㌘未満)グループと比べると、高い(700㍉㌘以上)グループで大腸癌のリスクが40%近く低いことが報告されました。
カルシウムの摂取量が多い集団は、循環器疾患や腰椎骨折のリスクが低いという報告があり、カルシウムの摂取量を増加させることにより様々な疾患が予防できる可能性があります。

最後に

大腸癌の増加には、食生活の欧米化などの環境要因の寄与が大きいと考えられています。そのため、生活習慣の見直しが、大腸癌の予防にとって重要です。
また、大腸癌は早期発見による治癒率が非常に高いことから、検診などにより大腸癌の前病変である腺腫を発見し、癌になる前に内視鏡で摘除することも、重要な予防の一つと考えられています。




楽しんで自分によいことしてみませんか?(行動変容のヒント) 2017.12 (石山診療所:丸山 貴広)

診察室でよく聞く話

「タバコは吸う」「毎晩晩酌量は多い」「体の不自由はないけど、動いてない」でも、「体が心配で人間ドックや健診は受ける」という方を時々お見受けします。なんか変ですよね!体に悪しき習慣を変えられない方は、少なくないと思います。

生活習慣を変えることは難しい!

日本生活習慣病予防協会では健康に良い習慣として「一無・二少・三多」を紹介しています(図)。しかし、長年染みついた生活習慣は、余程大きなきっかけがないと改善は難しいものです。  一方、生活習慣を変えた方にきっかけを伺うと「運動した後、とても気持ち良かった」「孫にタバコ臭いと言われ、嫌われそうになって禁煙した」「身近な人が肺がんで亡くなり、怖くなってタバコをやめた」等の話を聞きます。楽な事を選択するのが人情ですし、人生にとって大きな転機となる体験はそう多くありません。では、どうしたら良いのでしょうか?

楽しいことを見つける!

体に良い事を始めても継続は難しいものです。ウォーキング、ランニング、農作業などを友人や家族と一緒にやる事は、継続させる方法の一つです。お互い誘い合って行うので「休まないでやろう」という気持ちになりますし、色々な話をしながら体を動かすのは楽しいものです。運動後のお茶会を楽しみにしている方もいらっしゃいます。

自分にご褒美を与えることも一つの方法です!

例えばタバコですが、一箱440円として毎日20本吸うと、1年間で約16万円かかります。そこで禁煙を決意して実行すると、がまんだけが意識され、辛さしか実感できません。しかし、タバコに使わなかったお金を秘かに貯金すると、禁煙の成果は貯まったお金で実感できます。時期により異なりますが、1人でハワイ5日間のツアー旅行に参加できるくらいの金額になります。がまんするより楽しい未来を考えながら過ごした方が、ワクワクした時間を過ごせますね!

健康はあくまでも幸せになる一つの手段!

「健康」だけで「幸せ」になれる訳ではありません。人間は必ず老い、ほとんどの方が何かしら病気を患います。「健康」を目的に生活すると、健康になれない自分に悩むことになります。「健康」は目的ではなく、あくまでも幸せになる手段の一つです。よい生活習慣を心がけ、普段の生活の中に楽しみを発見する事が大切だと思います。



木戸病院リハビリテーション科の紹介 2017.11 (リハビリテーション科:本間 毅)

はじめに

木戸病院のリハビリ科についてご紹介します。当院で行っている医療保険リハビリは、外来患者さんに対して行う通院リハビリと、入院中の患者さんに行う入院リハビリに分かれます。ともに、4階病棟のリハビリテーション室を利用して頂きます。医療保険リハビリは疾患、重症度、リハビリの内容などにより、継続できる期間に制限があるのが特徴です。  寝たきりを予防し、自立した生活を支援する介護保険リハビリ(訪問・通所リハビリ)も重要で、こちらは医療生協の関連施設なじょもなどで実施しています。寝たきりにならないための体力づくりをなじょも内の百の花(もものはな)で受けることもできます。医療生協でのリハビリをご希望される患者さんやご家族は、担当のケアマネや木戸病院地域連携室の相談員達にお声かけ下さい。

外来リハビリ

外来リハビリは、在宅生活の充実や職場・スポーツ現場への復帰を目指すもので、各科の主治医がリハビリ開始と終了の指示を出しますので、リハビリの内容については担当の療法士だけでなく、主治医とよくご相談下さい。

入院リハビリ

概ね2週間以内の入院期間を上限とする急性期病棟での入院リハビリは、主治医の判断で怪我や病気が発症した直後から一人一日約40分程度で開始し退院が決まるまで継続できます。
脳卒中や大腿骨骨折など特定の疾患で、発症から所定の期間(表1)にある患者さんは、私が担当する4階の回復期リハビリ病棟で、生活全般を「介護」から「訓練」に見直し、休日も休まず毎日約1時間半リハビリを行います。医療生協は通所・訪問サービスや、往診可能な診療所、居宅系の施設などの付帯機能が充実しているため、当院の回復期リハビリ病棟は、開設以来1年半で在宅復帰率や在院日数などが全国平均を超える(表2)ことができました。医療スタッフを支えてくださる組合員の皆様には、改めて御礼申し上げます。これからも回復期リハビリ病棟スタッフ一同で、敷居を下げ間口を広げて「話しあえる病棟」を目指します。

8階には地域包括ケア病棟があり、準急性期(最近発症した疾患ではあるが、急性期病棟で専門的な治療を受けるほど重症ではない)や亜急性期(2~4週間の急性期治療後)に相当する患者さん、在宅復帰のための支援に時間や連携を要する方や、回復期リハビリ病棟で集中的にリハビリを受ける体力はないが機能維持につとめる必要がある患者さんに対して一日40分程度のリハビリを行っています。 医療・介護リハビリが適切に運用される様ご協力をお願いいたします。



「慢性心不全」が増えている! 2017.10 (循環器内科:山口 利夫)

実は「心不全」という病名はありません。心不全は心臓の機能が低下した状態を表す言葉です。心不全の原因となる心筋梗塞、弁膜症、不整脈などが「病名」になります。心臓の機能が徐々に弱っていく「慢性心不全」は高齢者に多い病態です。現在65歳以上の10人に1人が心不全といわれています。超高齢国家である我国は今後、心不全が爆発的に増えると予想されています。

症状と治療

心不全の症状は大きく2つあります。心臓が全身に血液を十分送り出せなくなり起こる症状―疲れやすい、全身倦怠、手足が冷たくなる等。全身の血液が心臓に戻りにくくなり起こる症状―呼吸困難、むくみ、体重増加等。治療は薬物療法と、生活習慣の改善(一般療法)が主となります。

患者さんが気をつけること一般療法

心不全悪化の6割は、患者さん側に原因があります(図)。
〈塩分を控える〉心不全悪化の最大の原因が塩分のとりすぎです。塩分は血液中の水分を増加させ、むくみもひどくなります。1日食塩6~7g以下が目標です。カップラーメンは塩分が5~6gもあります。汁を飲むのは控えましょう。尚、水分は一般に塩分ほど厳しく制限する必要はありません。
〈体重を測る〉体に水分がたまると体重が増えます。食べる量が変わらないのに体重が増加したら心不全の悪化が疑われます。1週間に2~3kg増えたら要注意。早めに受診しましょう。放っておくと重症になる場合があります。
〈服薬を守る〉主な治療薬は、心臓の負担を軽くする薬や、尿をよく出す薬です。症状をとる為だけでなく、死亡率を減らす為の薬もあります。具合がいいからといって自己判断で内服を中断してはいけません。飲み忘れも禁物です。
〈適度な運動〉心不全の人は運動禁止と思われがちです。適度な運動はむしろ有効です。「歩く」のがよいでしょう。運動量については担当医と相談して下さい。
〈感染予防〉かぜをひいても心不全は悪化します。抵抗力を落とさないよう普段から食事(栄養)に気をつけましょう。インフルエンザや肺炎等のワクチンも進んで接種しましょう。
〈喫煙と飲酒〉タバコは心不全の悪化や死亡のリスクを高めます。禁煙はとても重要です。お酒は心拍数を増やすためほどほどに。

慢性心不全は進行する

慢性心不全は悪化を繰り返し進行します。入院すると、回復し退院しても心臓の機能は元のレベルに戻りません。悪化させないよう、入院に至らないよう、自己管理が大切なのです。

心不全のチーム医療

当院には県内でも珍しい「慢性心不全看護認定看護師」がおり、チームで「心不全の管理」をしています。心不全の患者さんの多くは他にも複数の病気を持っています。認知症、介護の担い手不足など、様々な問題を抱えた患者さんをチームでサポートすることで悪化や再入院を防ぎ、着実に成果を上げています。



小児の気管支喘息について 2017.9 (小児科:榎本 瑞生)

喘息とは?

喘息とは、気道(空気の通り道)の炎症やむくみによって空気の出入りが妨げられ、呼吸が苦しくなる疾患です。喘息の発作が出ている時は咳が出て呼吸が苦しくなり、ヒューヒュー、ゼーゼー(喘鳴と言います)と狭い気道を空気が通る音がします。 喘息を起こす要因には様々なものがあります。ホコリや煙、タバコなどの環境因子、家族の中での喘息やアレルギー素因といった遺伝因子が関係します。また、風邪などの感染症、天気(特に季節の変わり目など)、運動も悪くなる要因となりえます。

喘息はどうやって診断されるの?

喘息には、この検査が陽性だから喘息です。という検査はありません。呼吸機能検査やアレルギー検査は診断を補助する意味で行うことがあります。このため、今までの病歴、現在の症状、診察所見と検査結果から総合的に判断します。 小児の場合ははっきりとした決まりはありませんが、だいたい3回以上喘鳴のエピソードを繰り返す場合は喘息と診断することが多いです。

乳児喘息について

2歳未満のお子さんに関しては、風邪などをきっかけに喘息の発作のようなゼーゼーを経験する場合が度々あります。このお子さんたち全員をすぐ喘息とは診断しません。乳児(1歳未満)〜2歳までは体格も小さく、その分気道も狭いです。そのため、風邪などで気道の炎症が起きると容易にゼーゼーしたり、呼吸が苦しくなったりしまいます。ただし、風邪を引くたびにゼーゼーする、風邪をきっかけとしなくても症状が出る場合は喘息の疑いが出てきます。この場合も家族歴やアレルギー歴を加味して判断します。

喘息の治療

喘息は気道が狭くなる病気のため、気管支を広げるような薬や炎症を抑える薬が治療に用いられます。軽症の発作であれば気管支拡張薬の吸入や貼付薬で軽快します。より重度の発作の場合は気管支の炎症を抑えるステロイドの内服または点滴の治療を追加します。

喘息の予防

喘息の治療において最も重要なことは発作が起きないように予防を行うことです。発作をくりかえすと、気管支のリモデリングといい、傷付いた気管支が回復する過程で気管支壁が分厚くなったり硬くなったりする変化が起きてしまいます。リモデリングが起きると余計に発作を起こしやすく、治りにくくなります。 また、日常生活においては、煙やホコリ、動物の毛など、喘息を起こす因子を排除することが重要です。 小児喘息の多くの患者さんが成長とともに良くなっていきます。気管支のリモデリングを防ぎ、より制限のない生活を目指すことが目標です。

喘息発の出やすい状況、このような時は受診しましょう


がんとの共存と緩和ケア施設 2017.8 (緩和ケア科:長谷川 聡)

がんを患い、それをかかえ自宅で暮す方が増えています。外来通院のほか場合によっては訪問看護・診察を受け、がんとの共存を図っておられます。自宅療養が可能ならおそらくそれがベストでしょう。ただ病状によっては、あるいは介護力不足などがあると自宅で過ごすことは難しくなってきます。このような状況の方々をサポートするため、緩和ケア病棟とかホスピスといわれる施設があります。そこでは心身の苦痛をなるべく軽減させ(緩和ケア)、がんとうまく共存できるようスタッフで考慮しており、第二のわが家ともいわれます。

日本と欧米の比較

このような施設での緩和ケア・緩和医療のレベルは、喜ばしいことに日本は世界でもトップクラスになってきました。しかし、在宅での緩和ケア対応はまだ貧弱であり、今後の大きな課題となっています。一方、欧米では在宅での緩和ケアやホスピス的対応が一般的であり、施設中心の日本とは異なります。欧米でこうなったのは、医療体系の違いや宗教的な関与の大きさが上げられます。また、長年にわたるホスピス・緩和ケアの歴史的積み重ねによる結果ともいえます。

木戸病院の緩和ケア病床

当院のような急性期病院で、国の施設基準を満たす緩和ケア病棟(Palliative Care Unit)やホスピスを作ることはかなり困難です。特に看護師の充足が難点です。そのため専門施設に準ずるものとして、新病院開設の際に緩和ケア病床(Palliative Care Bed)を立ち上げました。5階内科病棟に半独立した形の10床での運用です。ただ、病棟内に急性期とがん患者さんの両者が混在するため対応が不十分になりやすく、ここ数年専門施設に比べ劣った点があったのは否めません。 そこでこの4月より緩和ケア科を設立して、医師・看護師等のスタッフを充実させ、より望ましい対応を目指しています。病院としての社会貢献を果たすべく、当院緩和ケア病床はこれからも歩んでいきます。



医療雑話 2017.7 (整形外科:所澤 徹)

医療で使われる検査機器はいろいろあります。もっともよく知られているものがレントゲンであり、その進化したものがCT検査になります。CTになるとものの立体形状が解るようになってきます。しかし、軟部組織の検査には造影剤が必要であり、軟部組織を見るためには、MRIを待たなければなりませんでした。CTにしろMRIにしろ動いているものを見るのは苦手です。動いているものを見るのには、エコー検査というものがあります。この検査でもっとも有名なものには心エコー検査が有ります。この器械が出来て心臓の状態を見ることが格段に良くなりました。心機能の評価が一段と良くなりました。

整形外科で使われる検査機器

整形外科ではどうなんでしょう。元々、骨の形態の異常を直すことから始まった整形外科はレントゲンがあれば問題ないという風潮がありました。私が初めて整形外科でエコーの器械を使用したときはダラム式の洗濯機と同じ大きさだったのを憶えています。エコーと言うと洗濯機というのが私のイメージでした。しかし、科学の進化はエコーの世界にも広がっていました。コンピュータ関係のものは2年で半分の大きさになると言うことが、コンピュータ関係の雑誌に書いてありました。あれから20年近くの月日がたっていました。 今年、整形外科で医療用のエコーを購入しようと考えました。でも機を見たときの衝撃が走りました。 「ポータブルコンピュータ(PC)と同じ大きさだ」正直驚きました。対象となる疾患は、いわゆる50肩、肉離れ、表在性の皮下腫瘍、軟部組織損傷、使用してみると骨を包んでいる全ての組織が対象となります。導入までしばらくの時間お待ちください。

導入を検討中の機器
導入を検討中の機器


元気で長生きを 2017.6 (介護老人保健施設 ほほえみの里きど:矢田 省吾)

あなたは何歳まで生きたいですか。医師の生活時間は不規則になりやすく、睡眠不足やストレスもあり、医師の寿命は一般の人より短いとも言われている。私は若い頃は70歳までは元気でいたいと思っていた。第一目標は達成したが、次の目標に向けて日々を大事にしたいと思う昨今。

日本は長寿国

昨年7月発表の日本人の平均寿命は男性80・8歳、女性87・1歳で過去最高となっている。日本人は短命の時代が長く江戸時代の推定寿命は30〜40歳、寿命の調査が初めて行われた大正10年頃は男性42・8歳、女性44・3歳であったとのこと。昭和22年に男性50歳、女性54歳で男女とも50歳を超え、昭和46年には男性70歳、女性75歳でその後はほぼ毎年寿命が延びている。寿命が延びた背景として生活環境と食生活の改善、乳幼児死亡の減少そして医療の進歩などが関与していると思われる。

平均寿命は世界でトップクラスであるが6〜8年の要介護の期間が含まれている。近年、日常生活に支障のない生存期間である健康寿命が注目されており、平均寿命と健康寿命の差をいかに短縮するかが大きな課題である。

危険な老化

人は加齢とともに老化が進みさまざまな心身の衰えが出現するがその徴候に早く対応することで老化の遅延が計れるのではないか。危険な老化として①低栄養②歩行機能の低下③認知機能の低下があげられている。これらの徴候を認めたら生活内容の点検、医療機関での相談等で対策に努めたいもの。図での各項目で1つでも当てはまれば危険な老化が近づいている可能性あり。

生活習慣対策

健康長寿のためには老化を遅らせる生活と障害の原因となる疾病の予防と治療が重要となる。そのためには食事、運動そして人との交流が基本と言われている。食事は人生の大きな楽しみである。過食をさけ腹8分目、低塩分、豆製品や野菜を多め、そしてカルシウムの補給に努めたいもの。自分の体調にあった歩行などの運動、そして人との交流や地域活動への参加などで日々の暮らしを楽しむ生活が老化抑制に生かされると思われる。
最後に体調チェックのために定期的な健診を役立ててもらいたいもの。

“危険な老化”を見逃さない!!
元気で自立した生活を送っているつもりでも、危険な老化が忍び寄っているかもしれません。また、日々の生活で体に何らかの異変や不具合を感じても、「年のせい」と思って見過ごしているかもしれません。次にあげたのは、健康寿命に深く関わる「食べる」「運動する」「頭を使う」に関する老化のサインです。自分に当てはまるものにチェックしてみましょう。



産科手術 2017.5 (産婦人科:工藤 久志)

産婦人科は外科系診療科であり、日常診療で手術をすることもあります。産科診療は妊娠を対象にしており、生殖器全般を対象とする婦人科疾患と比べて手術の種類は少なくなります。妊婦および胎児を考慮しての手術になります。
今回は、産科で行う手術について述べます。産科の手術は、妊娠の時期によって違ってきます。妊娠の初期に行われる手術、そして主に分娩の時期に行われる手術です。

妊娠初期の手術

まず妊娠の初期の流産に行われる手術です。妊娠はしたが胎児が育っていかない場合で症状として性器出血、下腹部痛等があります(性器出血が初期にはない場合もあります)。自然に子宮内容物が排出されることもありますが、一般に妊娠十週前後での手術です。静脈麻酔下で子宮内掻爬(そうは)をします。
妊娠初期の手術として他に、異所性妊娠(子宮外妊娠)の場合もあります。子宮内の適当な位置に胎嚢(たいのう)がない場合や卵管妊娠(これが一番多い)、卵巣妊娠、腹膜妊娠といった特殊な場合もあります。卵管妊娠の場合、卵管を温存できず摘出することもあります。

妊娠十週後半の手術

妊娠十週後半では、子宮頚管無力症という、子宮頚管が子宮の収縮を伴わないで開いてくる疾患があります。この疾患には流産、早産のリスクがあり、子宮頚管縫縮術といって子宮の頚管を糸でしばる手術をします。子宮頚部上皮内癌等で子宮頚部円錐(けいぶえんすい)切除術の既往のある妊婦さんにも行うことがあります。腰椎(ようつい)麻酔下で行うことが一般的です。

妊娠後期の手術

妊娠後期、分娩時行う手術は、帝王切開術です。母体側、胎児側または両方の因子で手術になります。母体側では母体の合併症(産科的、内科的等)、胎児側では胎児機能不全、胎位異常(骨盤位、横位)、多胎妊娠等です。前置胎盤、常位胎盤早期剥離の場合も帝王切開になり、手術時の出血量も多くなり、輸血をする頻度が高くなります。麻酔は、腰椎麻酔または全身麻酔になります。皮膚切開は下腹部正中縦切開または横切開です。子宮の切開は、下部横切開か妊娠週数が早い場合は、子宮縦切開になることがあります。
経膣分娩で会陰裂傷があった場合、裂傷の縫合を行います。局所麻酔で吸収糸を使用します。四度裂傷といい直腸まで裂傷がおよぶこともあります。この場合、直腸膣瘻(ちつろう)といって直腸と膣の間に孔ができることがあり治療が難しくなります。
手術の種類は少ないですが、産科は常に母体、胎児を念頭に入れておかなければならないのです。




健診でのピロリ菌検査について 2017.4 (木戸病院 健診センター:多田 則義)

はじめに

慢性胃炎にも保険診療によるピロリ菌除菌治療の対象が広がったのが2013年で、昨年からは新潟市特定健診または新潟市胃がん検診(胃内視鏡検査)と同時実施で若年者対象のピロリ菌の検査が自己負担1000円で追加になっております。ピロリ菌による胃がん発生のリスクが叫ばれて何年にもなりますが、ようやく制度が追い付きはじめた感があります。
ピロリ菌は体の免疫機能が不完全である子どもの頃に感染するといわれ(上下水道が十分普及していなかった世代の人で高い感染率に)、とても弱い菌ですが感染していったん胃の粘膜に侵入すると胃酸から自らを守るためウレアーゼという酵素を分泌して、自分の周りの胃酸を中和します。この時に生成されるアンモニアによって胃の粘膜に炎症を起こしダメージを与え、その状態が長く続くと慢性の胃炎になります。ヒトの体は、何らかの刺激を受けるとその状況に適応しようと組織が変化します。ピロリ菌によって炎症が続くと胃の粘膜は腸に似た粘膜に置き換わり(腸上皮化成)、ピロリ菌が棲めない環境にして身を守ろうとします。ところがその過程がスムーズにいかず、途中で組織の一部に変異が起こります。それが胃がんの始まりで、萎縮性胃炎はこの前段階と考えられています。

健診センターでのピロリ菌検査

当センターでの健診では、ピロリ菌検査はピロリ菌に対する抗体(1gG)があるか血液検査で行います(血清ピロリ菌抗体)。ピロリ菌検査の中で最も簡単で、食事や喫煙などの影響を受けない検査と言えます。健診のオプション検査でうけることができますが、昨年4月からは年度年齢(年度末:3月31日時点での年齢)が40・45・50・55歳の方に限り、条件付きで市の検査に加わりました。ただし対象年齢の方でも後述の図1の方については市の検査としては行わないので注意が必要です。この場合は健診のオプション検査で行って下さい。

◎判定基準は抗体濃度によって区別されます。
・濃度10.0U/mL以上の場合…陽性(ピロリ菌感染あり)…結果欄は(+)
・濃度3.0~9.9U/mLの場合…陰性高値(6割過去の感染者、4割偽陰性)…結果欄は(-)
・濃度3.0U/mL未満の場合…陰性(ピロリ菌感染なし)…結果欄は(-)

濃度の3.0~9.9 U/mLの数値ではピロリ菌感染の疑いがあるにも関わらず、結果としては(-)となっているので、この場合は繰り返し検査を行うか、別の検査で評価を行うことをお勧めします。

おわりに

いくらピロリ菌抗体が陰性だったり、ピロリ菌除菌を行って除菌が成功したとしても、胃がんが完全に予防できたということにはなりません。胃がんはピロリ菌以外の原因でも発生するため、定期的な胃の検査をお勧めします。



漢方治療の広がり 2017.3 (木戸クリニック:須永 隆夫)

組合員のみなさんは、この冬を乗り越えたでしょうか。そろそろ、春に向かう今頃ですが、何か変と感じる人も多いと思います。動植物も、そう感じていることでしょう。このような環境変化の中でも、漢方薬を服用している方々の多くは、比較的体調もよく、風邪もひきにくく、ひいても軽いようです。風邪をはじめ、様々の病態にも漢方薬が処方されます。風邪では、後記のような漢方薬が病態に合わせて処方されます。服用15~20分後には、症状の改善されることも多いですよ。木戸クリニックでも4人の先生方が一般内科疾患とともに対応です。

種々の病気に漢方治療

風邪だけでなく、種々の病態に利用されます。いろいろな癌の患者さん、自律神経失調症、更年期障害、胃腸炎、便秘や下痢(感染性胃腸の五苓散等)、膝や腰の痛み、認知症の一部、うつ状態の一部、よく風邪をひく小児等々、種々の病態にも一助となる漢方治療です。

普及する漢方治療

ここ数年間、より多くの先生方が漢方治療にも関心を持ち、患者さまの治療に漢方薬を使ってくれています。開業、勤務、科を問わず、です。市内の主病院でも、漢方薬を使う先生も漢方薬の数も増えています。先生方も機会をみつけて、漢方医学を身に付けようとしています。木戸クリニックへも、漢方専門医を目指して、5~6人の先生方が研修に来ています。最近漢方医学に新しい流れがあります。古いはずの漢方の中に、西洋医学的にみても、最先端のものが発見されつつあります。臨床と研究の両方の場に漢方治療や漢方薬の中にある宝物探しが始まっています。五苓散や大建中湯はよい例です。若い先生方にまで関心が持たれつつあります。漢方医学が、全国の医科大学、医学部の計80で、10数年前から漢方医学の授業が必須科目となっています。漢方医学の授業を受けた後、自分の専門の西洋医学の科を取得した上に、漢方医学への関心が出てのことと思います。
漢方薬を使用しての漢方治療が、より効果的になされるべく、医学部卒業後の研修病院の卒後研修の中に、取り入れる病院が少しずつ増えています。全国的にです。患者さまからの漢方治療への期待も増しています。最近も、NHKでも民放でも漢方薬の効用や東洋医学の良さが放映されています。つい先日も、千葉大と東京女子医大の知人が出て、漢方のよさや東洋の知恵を伝えていました。

足りない漢方薬

漢方治療が広がる中で、漢方処方の材料となる漢方薬(生薬)が足りなくなりつつあります。生薬の8割以上が中国等からの輸入に頼っているからです。何とか、国産できるものは国産にと、各地で取り組み始めています。新潟県でも、少しずつです。皆さんも漢方薬を服用する時、貴重なもの、より効くように、なるべく相談した服用時間、空腹時での服用をお願いします。又、なるべく早寝早起きで生活リズムを整えて、食は日本型、腹八分目、よくかんで、を励行している人が、漢方薬もよく効くし、より元気なようです。漢方薬は種々の病態に対応です。下図は冷えへの処方の一部です。広がる漢方治療、皆さんもより身近にして下さい。




鼠径ヘルニアについて 2017.2 (外科:渡邊 智子)

鼠径ヘルニアという病気を御存知でしょうか?聞き慣れない病名かもしれませんが、一般に『脱腸』などと呼ばれる病気の事です。
鼠径部(太腿の付け根辺り)の腹壁の隙間から、腹膜が伸びて袋状になったところに、腹腔内から腸などが脱出してくる病気です。(尚、『ヘルニア』とは、医学用語で正常の場所から組織が移動した状態・飛び出した状態をいい、椎間板ヘルニアとは、名前は似ていますが全く違う病気です。)おおよそ100人に1人位の割合で発症するといわれており、それ程珍しい病気ではありません。男性に多い病気ですが、女性にも発症します。

鼠径ヘルニアの症状

長時間立っていたり、お腹に力をかけたりすると、太腿の付け根に柔らかい膨らみが現れ、横になると引っ込む、というのが、鼠径ヘルニアの主な症状です。鼠径ヘルニアに類似の疾患として、大腿ヘルニア(鼠径ヘルニアよりもう少し太腿側に脱出)や臍ヘルニア(いわゆる出臍)、腹壁瘢痕ヘルニア(手術の傷痕の部分に発症)などがあり、脱出する場所は違いますが、似た様な「出たり引っ込んだり」する症状が見られます。
この様に説明すると、鼠径ヘルニア(及び類似の疾患)はそれ程怖い病気ではない、放っておいても問題無い様に思われるかもしれません。実際、この「出たり引っ込んだり」の状態のまま、何年も何もせずに過ごしていても問題無い方も沢山いらっしゃると思います。

鼠径ヘルニアで注意すること

しかし、鼠径ヘルニア(及び類似の疾患)で、非常に危険な状態に陥る事が無い訳ではありません。
鼠径ヘルニアの腹壁の隙間はかなり狭い事が多く、脱出した腸管が隙間に引っかかって腹腔内に戻れなくなる事があります。この状態を『嵌頓』といいます。これは非常に危険な状態です。腸管が引っかかったまま数時間経つと、腸管への血流が途絶えて腸管が壊死してしまいます。こうなると、緊急手術でお腹を開けて、壊死した腸管を切除しないとならなくなります。手術の規模も大きくなり、入院も長くなります。当院でも年間数例は必ず『嵌頓』で緊急手術が必要になるケースに遭遇します。『嵌頓』の状態に陥ると、耐え難い痛みや腸閉塞による腹痛が起こるため、救急外来に駆け込まれる事もしばしばですが、緊急手術に対応出来る設備と外科医がいる施設は限られているのが現状です。いつ何時、外国や病院が無い山奥などで『嵌頓』を発症しないとも限りません。

鼠径ヘルニアの治療

鼠径ヘルニア(及び類似の疾患)は、『嵌頓』を生じる前に、治しておいた方が安全といえるでしょう。鼠径ヘルニアは、薬などでは治らず、手術が唯一の治療法になります。ヘルニア嚢を閉じ、腹壁の隙間にメッシュ等の人工の網を入れて補強する方法が一般的です。手術は1時間位で、通常は5日間程度の入院です(持病の無い健康な方だともう少し短くも出来ます)。
今まで「出たり引っ込んだり」の症状はあるけれど、放っておいているという方、一度外科医に相談してみませんか。



高齢者のてんかんについて 2017.1 (神経内科:横関 明子)

てんかんと聞いて、多くの方は子供の病気と思われていませんか。子供にももちろん見られる病気ですが、実は高齢者にも見られる病気です。若くして発症し高齢化した方の他に、高齢で初発する方も多くいらっしゃいます。高齢化社会が進むなか、高齢者のてんかん患者さんは増加傾向にあります。

てんかん発作とは どんな症状か
てんかん発作には実はいろいろなタイプがあり多彩です。

①突然全身が突っ張ったようになり、意識を失う
②手足をガクガクと一定のリズムで曲げ伸ばしする
③突然、失神する。
これらはなんとなく発作かなと思うと思いますが、中には、
④口をもぐもぐさせたり、手をごそごそ動かしたりして 何となくボーっとしている
⑤物忘れの症状が〝一時的に〟でる
などもてんかん発作である場合があります。

高齢者のてんかんの原因

てんかん発作とは脳の神経細胞が異常に興奮することでおきます。脳のなんらかの〝傷〟が原因となることがあり、傷というのは、この場合、とてもおおざっぱな言い方ですが、脳梗塞や脳出血の跡、認知症などの原因の脳萎縮(脳のやせ)、外傷、脳の腫瘍(できもの)などを指しています。高齢者のてんかんの原因は、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)、認知症、外傷、脳腫瘍の順で多いと言われています。

診断・治療について

まずはてんかん発作時の状況をお聞きします。ご本人は発作時の記憶がないこともあるため、発作を目撃した方が診察に同席されると診療がとてもスムーズになります。てんかんは発作のタイプにより発作予防に効果的なお薬が変わるため、最適な治療を選ぶ上で発作時の情報は大変重要なのです。この他、脳波検査や頭部MRI検査などを行います。
高齢者の場合、再発率が高いことから、初めての発作でも抗てんかん薬治療を開始することがほとんどです。ただし、症状によっては「てんかん」と特定できないこともあり、検査で異常がなければ経過を見ることもあります。
抗てんかん薬の副作用で問題となるのは眠気です。この他、薬の種類により、副作用は様々ですので、主治医の先生の説明を良く聞いてください。
発作の予防には、抗てんかん薬をきちんと飲むと共に、睡眠不足にならないこと、ストレスをためないことが大切です。
また、万が一発作が起きた場合、大事故につながるような活動、例えば高所での作業などは避けることが大切です。また、入浴はご家族に声かけをしてから入浴するなどを心がけましょう。

てんかん発作と運転

近年、運転中のてんかん発作が原因の事故がニュースになり、注目を集めました。意識障害を伴うてんかん発作の場合、現状では少なくとも治療を継続して2年間発作がないことが運転を許可される条件となります。つまり、てんかん発作がおきてから少なくとも2年間は運転が禁止となります。2年間発作が無いことを確認後、医師の許可の下に、道路交通法での運転再開の手続きが必要です。また、2年間発作が無くて運転許可が出た場合にもきちんと治療を継続する必要があります。



血糖値はいつ高い?~糖尿病早期治療のめざすこと~ 2016.12 (内科:山田 絢子)

糖尿病予備軍や糖尿病の初期にみられる最初の異常は“食後高血糖”です。食後高血糖は「食後のみの一過性の過剰な血糖値の上昇」を意味します。そう!糖尿病の初期には“空腹時血糖”は上昇しないのです。正常時には食後の血糖値が140mg/dl以上になることはありません。食後高血糖を放置するとインスリン分泌のさらなる低下、全身細胞でのインスリン作用の低下が顕著となりさらなる食後高血糖、そして空腹時高血糖までもがみられるようになります。また、血糖値の急上昇が繰り返されると、細胞から大量の「活性酸素」が発生し、動脈硬化につながることも分かっています。

血糖値のピークは食後1~2時間後

“食後高血糖”を把握するためには、いつも通りの食事を摂って来院して頂き、食後1~2時間後を目安に血糖とともにHbA1c(採血時から過去1、2カ月間の平均血糖値を反映します)と尿糖を測定します。血糖値が150mg/dlであっても尿糖が陽性であれば前の排泄時から今までの間の血糖値が180mg/dlを超える時間があったことを示唆しています。このように得られた情報を巧みに考察して血糖の日内変動を推定することも可能になります。

食後高血糖を防ぐには

では、食後高血糖を防ぐにはどうすれば良いのか?重要なポイントは、ご飯やパンなどに多く含まれる糖質が体に吸収されるスピードを遅くして、血糖値の急上昇を抑えることです。
食べる順番は「野菜」→「肉・野菜」→「ご飯・パン」
食物繊維を多く含む野菜などを最初に食べると、食物繊維が腸の壁をコーティングし、糖の吸収をゆっくりにします。その結果、血糖値の上昇が緩やかになります。(とはいえ、糖質を沢山摂れば高血糖を招きます。量にも気を付けましょう。)

「朝ごはん」は欠かさずに

実験によると、1日3食を規則正しく食べている時には食後高血糖が生じなかった人でも、朝ごはんを抜くと、昼食後に食後高血糖が発生!朝食も昼食も抜くと、夕食後にさらに大きな食後高血糖が生じてしまうことが分かっています。これは糖尿病の人に限ったことではありません。忙しくても、なるべく3食食べることが、食後高血糖の予防となります。

食後の適度な運動

例えばウオーキングであれば、朝夕の2回、15~30分ずつ、1週間に3日以上続けることが望ましいですが、何もウオーキングだけが運動ではありません。ふき掃除、買い物袋を両手に持ってストレッチ運動、いすに座ったまま膝の曲げ伸ばしも意識して続けることで運動になります。日常生活の中にうまく組み入れてみましょう。

食後高血糖を認めたら、できるだけ早く治療介入

血糖コントロールの悪化は年月をかけて合併症を引き起こす原因になります。糖尿病を早期発見して早期治療介入することによって合併症は予防することができます。イギリスで行われた大規模調査により、「レガシー効果(遺産効果)」という早期治療の有用性が示されました。これは10年間厳格に血糖コントロールをした群は、緩やかな血糖管理をした群に比べて、その先10年後にも合併症(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症頻度が有意に低いことが分かりました。血糖値の高い期間が長い程血管などにダメージを与えてしまいます。糖尿病は早くから治療を始めることが大変重要です。

川崎病の症状

質の高い血糖コントロールを目指しましょう

食後高血糖をきちんと下げることが、質の高い血糖コントロールにつながります。1日の中で常に変化している血糖値を正確に知ることで、より適正な治療や血糖コントロールを実施することができます。

持続血糖モニター(CGM:Continuous Glucoe Monitoring)機器を使用すると、 血糖値の変動を継続的に測定・記録することができます。



口腔の健康と全身の健康 2016.11 (歯科:鈴木 博)

歯周病と糖尿病の関連性は、マスコミなどによって国民に広く認知されているところです。しかし、最近では都道府県の大規模調査によって糖尿病だけではなく、全身疾患と口腔環境の関連性が明らかになりつつあります。すでに調査が終わり、詳細な分析を行っている兵庫県では、長年にわたり高齢者の残存歯数と全身疾患との関連について大規模調査を行っています。調査は兵庫県での医科医療機関、歯科診療所をともに受診した2万7112名を対象に医科と歯科のカルテを突き合わせて詳細に分析したものです。その結果の一部をグラフに示します。

歯の残存歯数は全身疾患罹患率
年齢を70歳~74歳、75歳~79歳および80歳以上の3群に分類し、19本以下の残存歯をもつ者、20本以上の残存歯をもつ者で比較したものです。

今回取り上げた疾患は、循環器系の疾患として高血圧性疾患と脳梗塞、内分泌疾患としては糖尿病です。その他悪性新生物として胃癌と気管支・肺癌、呼吸器の疾患として慢性閉塞性肺疾患、神経系の障害として認知症とパーキンソン病および尿路系疾患として腎不全を取り上げています。
その結果、ほとんどの疾患で19本以下の歯を有する者は20本以上の歯を有する者と比較して罹患率が高くなっており、特に口腔内と密接な関係を持つと考えられる気管および肺癌と慢性閉塞性肺疾患は罹患率が大きく上回っていました。また、他の疾患でも歯の残存歯数が少ないと全身疾患を引き起こす率が高いことを示しています。
これらの結果から、歯の残存歯数は全身疾患罹患率に大きく関与し、高齢者の全身的な健康の維持には、いかに多くの歯を残すかが重要になってきます。そのためには、歯を失う原因である歯周病・ムシ歯等の早期発見・早期治療が肝心ですので、かかりつけ歯科医での定期健診を受けて、口腔の健康・全身の健康増進に努めましょう。



肺炎球菌ワクチンについて 2016.10 (内科:成田 淳一)

はじめに

皆さん、肺炎球菌ワクチンを知っていますか。俳優の加山雄三さんや西田敏行さんがテレビコマーシャルをしていますが、あれってなんだろうと思っている方も多いのではないでしょうか。今回は肺炎球菌ワクチンについて紹介いたします。

肺炎予防の重要性

肺炎は細菌などの病原体が原因で起こる肺の感染症で、皆さんよく耳にすることの多い有名な病気のひとつです。昔は年齢によらず肺炎で命を落とす方が多い時代もありましたが、近年は抗菌薬や治療法の進歩に伴い、以前のような状況はなくなりました。しかし年齢を重ねると免疫力が徐々に低下してきて、感染症にかかりやすくなります。現在でも肺炎は日本人の死因の第3位であり、肺炎による死亡者の96%以上が65歳以上の高齢者です。超高齢者社会となった日本は今後も高齢化が進んでゆき、肺炎の死亡率はさらに高まってゆくと予想されています。

肺炎球菌は肺炎の起因菌の約3割と最も多く、重症化する可能性も高い菌ですので、ワクチンで予防する意義は高いと考えられています。ワクチンとは病原体の毒性を弱めたり、無毒化したものです。ワクチンを接種することで、実際に病気にかからなくても、病原体から体を守る免疫をつくることができます。

肺炎球菌

肺炎球菌ワクチンの現状

肺炎球菌は細胞壁の外側に莢膜をもっており、その莢膜の抗原性の違いで93種類が報告されています。肺炎球菌ワクチンはこの莢膜(きょうまく)をターゲットとしています。現在、23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPV23)と13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の2種類があります。それぞれ23種類、13種類の莢膜血清型に対するワクチンですが、我が国では肺炎球菌感染症の約70〜80%をカバーできることが確認されています。また、国内の高齢者を対象とした試験では肺炎球菌性肺炎の発症率を63.8%低下させたというデータもあります。
行政では2014年10月よりPPV23が65歳の高齢者を対象に定期接種化されました。すでに65歳を過ぎた方にも定期接種の機会を設けるため、2019年3月までの時限措置として、該当する年度に70、75、80、85、90、95、100歳の方も定期接種の対象とされています。該当年齢の方には1回のみ定期接種としての公費助成がされます。新潟市ではその年の該当者に8月中旬頃からハガキで案内がされています。該当する機会を逃さずに接種されることをお勧めいたします。

定期接種に該当しない方でも任意でワクチン接種を受けることも可能です。2種類のワクチンの接種時期をどのようにするかは、それぞれに特徴がありますので、医師とご相談下さい。



消化器癌の内視鏡治療ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)について 2016.8 (内科:横山 恒)

ESDとは?

ESDとは「内視鏡的粘膜下層剥離術:EndoscopicSubmucosal Dissection」の略語です。  消化管の壁は主に粘膜層、粘膜下層、筋層という3つの層からできています。がんは最も内側の粘膜層から発生するため、早期がんに対して、胃カメラや大腸カメラで消化管の内腔から粘膜層を含めた粘膜下層までを剥離し、病変を一括切除するという治療法がESDです。日本で開発された治療法で、胃では2006年、食道で2008年、大腸で2011年より、国が認めた保険治療として現在では標準的に行われております。

内視鏡治療には他にEMR(内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic Mucosal Resection)という、スネアという金属の輪で切除する方法がありますが、一括切除できるサイズに限界があり、しばしば分割切除になるため、正確ながんの進行度の評価ができず、時に再発を招くことがあります。このEMRの弱点を克服した治療法がESDです。専用のナイフで粘膜を切開剥離する技術が研究され、大きな病変でも一括で切除することが可能となりました。

治療適応は?

◆食道  「粘膜固有層までに癌の浸潤が留まるもの」が絶対適応です。
◆胃  腫瘍の大きさ、組織型(分化型、未分化型)、深さ、潰瘍合併の有無により規定されます。 絶対適応病変は、「がんの深さが粘膜層に留まり、腫瘍径2cm以下、潰瘍を伴わない分化型癌」とされています。
ただし、適応拡大病変として次の状態のものがあります。 ① 2㎝を超えるが、潰瘍を伴わず深さが粘膜層に留まる分化型がん ② 3㎝以下の潰瘍を伴う、深さが粘膜層までの分化がん
◆大腸  「腫瘍の大きさが2~5㎝までの一括切除が可能な腺腫または早期癌(深さが粘膜下層1000μmまでに留まるがん)」とされています。
治療前にはがんの深さが正確に確認できないため、ESDの適応かどうかは内視鏡医の判断が必要です。最終的な診断は切除後の病理組織診断によって決定されます。そのため、治療前に適応病変と判断されていても、治療後に適応外と判明することもあり、その際は追加の外科手術が必要になります。これらの条件を基本とし、患者さんの状態(年齢や基礎疾患など)を総合的に判断して、治療の適応を決定します。

内視鏡治療

利点は?

外科手術は臓器を周囲のリンパ節と一緒に切除しますが、早期のがんの中で特に早期のものはリンパ節転移がほとんどないため、ESDを選択することで局所のみの切除となり、臓器をほぼ温存できます。そのため、患者さんへの体の負担が少なく済みます。

起こりうる合併症は?

起こりうる合併症としては、主に出血や穿孔です。治療後に起こる出血を後出血といいますが、緊急内視鏡による止血術が必要になります。また、穿孔とは消化管に穴があくことですが、この場合はクリップで穴を閉じます。多くは保存的に治癒しますが、穴が大きい時などは緊急手術が考慮されます。

最後に

当科でも食道癌、胃癌、大腸癌に対してESDを積極的に行っております。治療についてお聞きになりたいことがあれば、消化器内科担当医に御相談ください。



足の爪白癬(足爪の水虫)─爪白癬外用剤について─2016.7 (皮膚科:佐藤 信輔)

爪白癬については2014年12月の機関紙本欄にてその内服治療について記載しました。その後外用剤も出てきましたので紹介いたします。

足の爪白癬に対する内服薬と外用剤での治癒率

足白癬(足の水虫)は足底の表面の角質層に白癬菌(かび)が感染したものです。足指の間に症状が出やすく、やがて足底全体に拡大し足の爪にも侵入します。爪の色は白くにごり、爪がもろく、肥厚します。80~90歳代では男性の30%~55%、女性の25~35%に足の爪白癬があります。足の爪白癬は従来の白癬の外用剤では軽快することはあっても治癒にいたることは困難でした。内服薬がでてから治癒するようになりました。内服薬は2種類あります。イトラコナゾールとテルビナフィンです。イトラコナゾールは1週間内服して3週間休薬することを3回繰り返します(合計3か月)。テルビナフィンは毎日1錠、6か月間内服し、どちらも治療を開始してから1年以上経過観察して有効であったか判定します。イトラコナゾールで1年後治癒率は約34%です。テルビナフィンの治癒率は約40%前後です。どちらの内服薬も肝障害・血液障害などの副作用があるため、治療初期には頻回に血液検査で副作用を点検します。その後は時々血液検査をしながら内服します。2014年12月に爪白癬の外用剤クレナフィンが発売されました。爪に1日1回、約1年間塗布します。さらに本年4月ルコナック爪外用剤が発売されました。治療方法はほぼ同じです。クレナフィンの治癒率は製薬会社のパンフレットでは15・2~17・8%、ルコナックの治癒率は製薬会社のパンフレットでは14・8%です。外用剤の治癒率は内服より劣るようです。

白癬菌の治癒と高齢者の場合

爪の伸びる速さは根元から指先に到達するまで手の爪では半年以上、足の爪では1年以上かかります。爪の伸びる速さは手の爪より足の爪の方が遅いのです。白癬菌で破壊された爪は治療しても元の正常な爪に戻りません。白癬菌が爪のさきから爪の根元に拡がってゆく速さと、爪が根元から先端に向かって伸びてゆく速さが治癒に関係してきます。(図1)治療で白癬菌の拡大の速度を遅くしておいて、その間に正常な爪が伸びてゆき、白癬菌は爪の先に追いやられてやがて爪切で切られてしまいます。正常な爪におきかわって治癒します。高齢者では足爪の伸びが遅く、また動脈硬化・糖尿病などにより血行が悪いなどのため内服薬の効果が悪くなります。効果がない場合は治療を中止することがあります。効果が無いのに数年間におよび高価な内服を継続された方もいました。爪白癬外用剤でも高齢者の爪の伸長がおそいため難治性であることが予想されます。

最後に

爪白癬では、顕微鏡検査で白癬菌陽性を確認してから治療を開始するのが原則です。爪白癬でないのに爪白癬の治療を長期間されて、治らない方も少なくありません。本日述べました爪外用剤も比較的高価な薬剤です。また新しい内服薬も開発中です。

爪白癬の治癒について(図1)

足の爪白癬(足爪の水虫)
①爪が根本から先端に向かって伸びていく早さ
②白癬菌が爪の先から爪の根元に広がっていく早さ
①・②のどちらが早いかが治癒に関係しています。



川崎病について 2016.6 (小児科:園田 香里)

川崎病という病気をご存知でしょうか?日本の小児科医である川崎富作先生が発見したことから、「川崎病」という名前がつきました。四歳以下の乳幼児がかかりやすく、男の子にやや多くみられます。世界的にみても日本人の発症 頻度は高く、また近年患者数は増加傾向です。現在、国内で年間に一万五千人くらいの新規発症の患者さんがおり、決して稀な病気ではありません。

どんな病気なの?

一言で言うと、全身で「血管の炎症」が起きる病気です。原因はまだ特定されていません。一番心配なのは、心臓に酸素や栄養を送る血管にこぶ(冠動脈瘤)ができることや、こぶが詰まって心筋梗塞を起こしうることです。

炎症によって全身に様々な症状が現れます。 ①熱が五日以上続く。②目が赤くなる。③唇が赤くなる、舌がいちごのようにぶつぶつと赤くなる。④首のリンパ節が腫れる。⑤手足が赤くなったり腫れたりする(後から皮がむける)。⑥体にぶつぶつができる。

これらの症状のうち五つを満たすと川崎病と診断しますが、状況によって四つ以下でも川崎病と診断することもあります。診断基準には入っていませんが、ぐったりして不機嫌なことが多いです。他にも、BCG接種痕が赤く腫れたり、腹痛・黄疸・関節痛・痙攣がみられることもあります。

早期診断のポイントは?

川崎病は「冠動脈瘤ができる前に早く診断・治療を行って炎症をしずめる」ことが最も大事です。しかし、川崎病は、子どもがかかりやすい他の病気(主に風邪などの感染症)と似ている症状が多いことが、非常に厄介な点とも言えます。小児科医は、普段から「本当にかぜかな、川崎病ではないかな」と考えながら診察しています。その際、ご家族からの情報がとても重要です。 ・熱の変化(何時に何度出たという細かい数字は必要なく、大まかなパターンが大事) ・症状がいつから出てどのように続いているか
また、「いつもの風邪と何か違う(ぐったりする、不機嫌、食欲がない)」というご家族の勘も大事です。実際に、「熱が○日続いてぐったりしている、目と手が赤くなり発疹もでてきた」、などとご家族が丁寧に観察してメモし、受診時にお伝えいただいたことで、早く診断がついた方もたくさんいます。

どんな検査や治療をするの?

入院して、炎症を抑える治療を行います。飲み薬のアスピリン、免疫グロブリン点滴が一般的な治療です。これで患者さんの約九割はよくなります。血液検査や、超音波検査などで冠動脈瘤など心臓に異常がないかを確認します。症状が改善し、心臓に問題がなければ退院です。まれに退院後にも心臓の異常が起こることがあるため、外来でも定期的に検査を行います。
冠動脈瘤などの心後遺症は、診断・治療の進歩とともに減っており、現在では川崎病患者さんの約三%のみに認められます。  川崎病のことに限らず、病気や薬、成長・発達についてなど、ご質問があれば、普段の受診時などにいつでもお声をかけてください。

川崎病の症状
①熱が五日以上続く。 ②目が赤くなる。 ③唇が赤くなる、舌がいちごの  ようにぶつぶつと赤くなる。 ④首のリンパ筋が腫れる。 ⑤手足が赤くなったり腫れた  りする(後から皮がむける)。 ⑥体にぶつぶつができる。

これらの症状のうち五つを満たすと川崎病と診断しますが、状況によって四つ以下でも川崎病と診断することもあります。

川崎病の症状



五十肩「四方山話」 2016.5 (整形外科:所澤 徹)

整形外科の疾患の中で関節周囲の疾患で日常生活に影響のあるものの、手術の適応があまりない疾患である。
日常の診療の中では、腰痛、膝関節痛、骨折の次に多い疾患ではないでしょうか。
治療方法についても、はっきりと定義があるわけではなく経験則で治療が行われていました。

ところが、昨年の7月、私がこの五十肩を発症してしまいました。初めは、肩の前方が痛くなり、時々、姿勢によって非常に強い痛みが出る程度でした。
まあとりあえず、肩体操を、(リハビリを)と体操を続けていましたが、いっこうに良くならず、痛み止め、鎮痛剤を飲むようになりました。
この状態で約2ヶ月経過し、局所に圧痛点を認めるため、トリガーポイント注射という、局所麻酔注射をしましたが、効果が乏しく、逆に、効果が切れたときに痛みがひどくなると言うことを経験しました。

さて、次第に、手術に困るような痛みが出てくるようになり、次に、対応したのが、ステロイド入り局注、これも、効果があるのかないのか、1週間ぐらいは激しい痛みからは解放されていましたが、効果の持続が今ひとつでした。

ステロイドの問題は、過量投与が出来ないこと、繰り返し使用すると副作用に見舞われます。このため、肩関節内に、局所麻酔薬を注入しました。これは、これである程度の鎮痛効果が得られました。(やはり五十肩は関節の炎症なのだという結論に達しました)
肩関節のステロイド注入。究極の選択枝を選ぶ必要が出てきました。ステロイド関注は整形外科医の間でも賛否の分かれるところがあり、使用する事をためらう一面もありましたが、夜間痛のため、施行せざるを得なくなりました。

ステロイド関注は劇的に有効な手段と感じてしまいましたが、余りにも痛かったためか、2週間程度しか効果が持続しませんでした。
ここが最大の問題。もう一度ステロイドを使用するかどうか?1/2量のステロイドを再投与、夜間痛の改善で何とか過ごすことが出来ました。
しかし、また2週間すると疼痛の増大、なかなか、我慢できない状態が続きました。
と言うことで、現在まだ非常に痛い五十肩の症状で診察をしております。

肩関節図
まとめとして、五十肩の自己診断、肩が痛くなったら肩関節が良く動くか両上肢で万歳してください。出来る様だったら、まだ軽症です毎日、万歳しながら肩が堅くならないことを確認してください、そして、帯を結ぶような姿勢もしてみてください。気がつかないうちに、動かせなくなっていることがあります。こうなるとリハビリが必要になります。早めに、整形外科を受診してください。



食品成分表のススメ 2016.4 (内科:太刀川 仁)

昨年末に、文部科学省から日本食品標準成分表の改訂版が公表されました。耳慣れている方も多いかもしれません。食品成分表は日ごろ摂取する食品の栄養成分をまとめたもので、学校給食の献立づくりや健康管理のための栄養指導などに幅広く使われています。初版は一九五〇年で、今回は十五年ぶりの大幅改訂でした。干しひじきに含まれる鉄分が、製造に使われる釜の主流が鉄からステンレスに代わって九分の一に減っていることがニュースで取り上げられていました。

食生活の変化を反映してパンの種類が増えたり、製造法や調理法によって成分やカロリーが変わるものを加えて、前回2000年版よりも三〇〇品目も増えて2191品の成分が記載されています。

一例を見てみましょう

魚介類の1ページ目、あじ類には「まあじ」「まるあじ」など4種類のあじがありますが、「まあじ」ではさらに「尾つき」「開き干し」「水煮」「刺身」「フライ」などなどに分かれます。それぞれ加食部100gあたりのカロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物、鉄分など無機質、ビタミンとあって最後に食塩相当量が記載されています。

あじのお刺身100g中水分が75.6gを占めますが中性脂肪は3.0g、コレステロールは0.2gですが、あじのフライ100gでは水分52.3g、中性脂肪17.0g、コレステロール7.9gです。生のあじ100g中の塩分相当量はわずか0.3gですが、開き干しは生でも1.7g、焼くとさらに濃縮して2.0gと70倍近くも塩分が増加します。あじやたらを原料にしたかまぼこの塩分相当量は2.2~2.5gとさらに増加します。

肉類を見てみます。牛肉、豚肉、にわとり、うまやいのしし、くじらからすっぽんまであります。牛肩ロース肉の中性脂肪は35.0g、豚のロースは18.5gですがトンカツは35.1gで同じです。塩分相当量はトンカツにしてもわずか0.3gですので、これは調味料のソースの塩分の方が多くなります。中濃ソース小さじ1杯5mLでも0.3g、ウスターソースなら0.4gの塩分になります。カゴメソースではとんかつ1食100gについてソース20gがおいしいとしていますので0.9~1.2gの塩分ということになります。

このように眺めていると、ふだんなにげなく食べている食品が急に実体を伴ってくるように思います。

日本食品標準成分表
表のpdfはこちら

一例を見てみましょう

文部科学省のホームページからすべてダウンロードして見ることができますが、多くの出版社から色とりどりの食品成分表が販売されています。「実用ハンディ版…」「1個1尾1切れ1杯がひと目でわかる…」「はじめての…」「腎臓病の…」「塩分早わかり…」「コレステロール早わかり…」「会社別製品別市販加工食品…」などなど800円~1600円くらいで、それぞれ目的や用途に合わせてさまざまな品揃えです。
病院や医院の先生方に、ダイエットや塩分制限、コレステロールを減らしましょうと言われている方、ぜひいかがでしょうか。



閉経後出血について〜やっぱり婦人科へ行きましょう!〜 2016.3 (産婦人科:菊池 真理子)

今回は妊娠・出産時期よりもう少しお姉さま世代、閉経後の不正出血についてお話しします。

私、いつ閉経したの?

閉経の年齢は平均して50歳前後、45歳から56歳位と言われています。医学的には12カ月の無月経、つまり1年間月経がないときに閉経と定義づけられます。
40歳位の方が婦人科を受診し、「3か月間月経がないのですが閉経でしょうか?」と心配そうにお話しされることはめずらしくありません。このような場合は、妊娠の有無を確認したり血液検査などで今のご自身の状態を知ることが出来ます。「私は閉経したのかな?」ご自身での判断が難しい場合はぜひ婦人科で相談してみてください。

閉経しているはずなのに出血が…

表1に閉経後の不正出血(異常出血)を来す主な疾患を挙げてみました。よく見てみると婦人科が診断・治療に対応できるものばかりとは限りません。

不正出血の主な疾患
下着に血がついていた、用を足した後のトイレットペーパーに血がついた、便器に赤いものが落ちた…など症状に気付くきっかけは様々です。ご自身で出血したところを確認するのはなかなか難しいものです。こんな時は婦人科受診をお勧めします。診察後、たとえ婦人科の病気でなかったとしても適切な診療科への受診をご案内することができますし、ついでにがん検診もしたり、婦人科関連の最新情報もゲットできるかも…お得です。

やっぱり受けておきたい婦人科検診

閉経後出血は決してめずらしいことではありません。例えば、萎縮性膣炎は閉経により膣表面がもろくなったためにわずかな刺激で出血することですから、閉経後女性の誰もが1回あるいは複数回起こりうると考えられます。ちょっぴり出血するたびに「大きな病気かしら?」と心配していては毎日明るく過ごせないのではありませんか?
それならば症状のない方も1〜2年毎に婦人科検診を受けましょう。子宮頸がん検査は無症状の初期がんを見つけることが出来ます。初期がんはさらに進行して出血や腹痛などの症状が出るまでには数年かかります。子宮体がん検査は、地方自治体の定期検診から外れていますが、希望者や婦人科医が必要と判断した時に行っています。また検診時にはがん以外の子宮や卵巣・膣外陰部の異常についても診ています。検診で今のご自身の状態を知っておくことで不正出血についても過剰な心配をしなくて良くなることと思います。

最後に

まだまだ敷居が高いと言われますが、婦人科への受診をためらわないでくださいね。閉経後の人生は30年以上もあるのです。お体を大切に過ごしてゆきましょう。



毎年の健診で元気に長生き 2016.2 (健診センター:阪田 郁)

わたしたちの寿命は、より良い健康状態で伸びており、今後も伸びていくだろうと予測されます。日本では、国民皆保険制度による医療システムの整備、健診や新しい治療方法・ワクチンの開発などにより、平均寿命が伸びていると考えられます。
しかし、2010年における日本の平均寿命が男性で79.6歳、女性で86.4歳であるのに対し、日常生活に制限のない期間は、男性で70.4歳、女性で73.6歳と報告されました。つまり、日常生活に何かしら制限がある期間は、男性で9.2年、女性で12.8年に及ぶということです。今や健診の課題は、疾患の予防・早期発見に止まらず、この期間をいかに短縮していくかということになってきました。

寿命、特に健康寿命に寄与する因子

「あそこは長寿の家系だ」という様に、寿命には遺伝的なものももちろんありますが、その多くは環境因子が規定するといわれています。このため、健診の結果説明では、特定保健指導を含めて、疾患の予防、さらに健康寿命を延ばす目的で、生活習慣の指導がなされるわけです。総合判定がA・B判定でも、改善が望ましい生活習慣について指導が入ることもあります。(下図-参照)

よい生活習慣の実践を

体重は、手軽に計れる正確なバロメータ

同じものを食べても、太りやすい人と太りにくい人がいます。結局、食事が適量だったかどうかは人によって違います。そして、それは体重の変化を見ればわかります。食べる量はカロリーだけでなく、自分の体重で判断しましょう。さらに大切なのは食事の中身、栄養バランスです。脂肪や塩分の摂りすぎには注意が必要で、逆に、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足しやすい栄養素は意識して摂るようにしましょう。

定期的な身体活動も大切

立ち仕事や農作業など、肉体的につらい仕事をしていても、それは有酸素運動や筋力トレーニングとはまた別のものです。自分の生活スタイルに合った方法で、定期的な運動を取り入れていけるといいですね。

心の在り方

近年、人間ドックでも、メンタルヘルスの重要性が指摘されるようになり、国の政策として、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が導入されました。体と同様、心の状態とも向き合いつつ、心身ともに健全な生活を心がけましょう。



漢方医学の普及と需要 2016.1 (木戸クリニック所長:須永 隆夫)

新年に、1~2の病気を持っていても元気にお過ごしでしょうか。今回も漢方医学を一緒に考え、身近にしていただければと思います。木戸クリニックも漢方治療専門外来を八木と須永が担当しています。

当院における検診の現状

診療する医師の約90%が漢方薬を処方したことがありと答えるほどです。全国に80ある医学部全校で、6年間に8~10¬単位(90分1単位)の授業が始まり10年余となります。医師になって、ごく自然に漢方治療を取入れる時代です。若い先生方、関心のある先生方に、漢方医学の研修できる病院づくりの体制が全国に広がりつつあります。新潟県内はまだまだですが、木戸クリニックには、研修の先生が来てくれています。

漢方医学はどこの医学

漢方医学は東洋医学の中の一つで、日本で独特に発展しました。東洋医学の中には、東アジア、中国を中心とした医学、インドのアーユルベーダ、中近東のユナニ医学などがあります。中国に起こった医学が、韓国や日本に伝わり、韓国で韓医学に、日本では、江戸時時代に漢方医学が体系づけられました。西洋の医学が蘭方と呼ばれ、中国から入り、日本で独自に施行されていた医療(漢方薬も鍼灸も含む)を漢方と呼びました。現代の中国にある中医学と違うところです。現代の日本では、漢方医学と中医学の両方が行われています。

漢方は急性、慢性の両方に

慢性の病態には、勿論ですが、急性の病態にも広く利用されます。最近は、夜間外来は勿論、救急患者を診る急患センター等に常備しておくところが増えています。芍薬甘草湯、五苓散、大建中湯、麻黄湯、葛根湯、桂枝湯、柴苓湯、小柴胡湯加桔梗石膏、桔梗湯、麦門冬湯、越婢加朮湯、治打撲一方等々です。5~10分で効果の出るものもあります。風邪なども、10余の漢方薬を図(※図1)のように、病態に合せて処方です。15~20分で効果の出るものから、少し日数をかけての効果出現のものとあります。慢性疾患への適応は、種々の病態にお手伝いが可能です。西洋薬との併用もしながらです。

かぜに汎用される方剤

漢方薬の保険はずし?

昨年(2015年)の夏も厚労省、財務省の動きがありました。患者さんのご意見も集め、提出、何とか免れましたが、いつ再燃するかわかりません。その時は又、署名なりお願いします。広がっている漢方治療(なるべく漢方医学の診断で漢方薬を使う)に多くの先生も関心を持ち治療に活用しています。組合員の皆さんも漢方に親しんで下さい。

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